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おもしろそうなのに、おもしろくない!『ピクセル』感想

作品紹介(映画.comより) 人気ゲームのキャラクターに変身して侵略してきた宇宙人に対し、地球の危機を救うためゲームオタクたちが立ち上がる姿を描いた異色のディザスターパニック映画。監督は「ハリー・ポッター」シリーズのクリス・コロンバスパックマンドンキーコングギャラガスペースインベーダーなど、日本生まれのゲームキャラクターも多数登場する。30数年前、宇宙人との交流を夢見てNASAが宇宙に向けて発信した映像の中には、当時大流行していたゲームの映像が含まれていた。ところが、その映像を受信した宇宙人が、友好のメッセージではなく挑戦状だと勘違い。地球が発信したゲームのキャラクターに扮して、現代の地球を侵略してくる。触れたものを全てピクセル化してしまう能力をもった宇宙人にアメリカ軍も歯が立たず、人類は危機に陥るが、ゲームオタクたちが宇宙人の弱点を見抜く。

近くの劇場ではそろそろ公開が終わりそうだったので、急いで観てきました。が、そんなに無理して観なくてよかったかも知れません…が、せっかく観たので感想を書いておきます。




まずはよかった点としては、宇宙から襲撃してくるピクセルたちの造形ですね。レトロゲームのドット絵をうまく3次元に変換できていると思いますし、それがニューヨークの街に大量に押し寄せる絵はなかなか愉快でしたよ。



また、ピクセルのなかでもQバートが特別扱いになっていて、言葉をしゃべったり、懐いてきたりするんですが、それがなんとも愛らしくてよかったですね。



よかったところはそれくらいで、あとはあんまり褒められたものじゃないと思います。以下、この映画の問題点と思う箇所です。


少年パート短すぎ問題


この映画は主人公ブレナーの少年パートとおっさんパートで構成されているんですが、あまりにも少年時代が駆け足で終わりすぎています。そのためブレナーがどれだけゲームに情熱を燃やしていたのか、うまくなるためにどういう工夫をして、どんなに練習をして、世界大会の決勝の舞台に立つまでの腕前になったのかさっぱりわからないです。そのため何故だか最初から才能があった人にしか見えず、少年時代からゲームオタクだった自分から見ても感情移入しづらいキャラクターになっていました。また、ゲームをプレイするシーンをモンタージュ等で適当に見せているため、後半にピクセルが襲ってくるシーンの伏線としてはものすごく弱くなってしまっていて、そこも残念です。


わりとどうでもいい…問題


この映画に出てくる登場人物たちは、悩んだり挫折したり葛藤したりといったことを全くと言っていいほどしないので(一応、主人公が自分で自分のことを負け犬と呼ぶシーンがありますが、あまり切実な思いはなさそう)、ピクセルとの世界の命運をかけた戦いにもエモーションが欠けていて、わりとどうでもよくなってきます。一般市民がひどい目に遭うシーンがあまりなくて、ディザスターシーンに緊迫感がないのもそれに拍車をかけていると思いますね。


ゲーム愛が足りない問題


この映画を観ていて感じたのは、作り手たちはゲームを本当には愛してないんじゃないかということです。少年パートでゲームをプレイするシーンなど、ゲーム好きとしてはもう少し丁寧に攻略する過程を見せてほしいですし、そうすれば後半で主人公がピクセルに勝てる理由に説得力ができます。また、ピクセルとの勝負時に流れるBGMは毎回ゲームと無関係のつまらない選曲がされていますが、そこはそのゲームの音を聴かせるとこじゃないの?と思ってしまいますし、ドンキーコングの倒し方にしてもゲーム内のルールから外れていて、わざわざそうした意味がわからないです。これは、作り手側がレトロゲームに思い入れがなく、その見せ方について真剣に考えていないからではないかと思います。


↓その他引っかかったところ

・架空のゲームキャラクター、レディ・リサという女戦士をブレナーの友達ワドローはずっと愛し続けていて、それがピクセルとして具現化されるんですが、なぜかドット絵風じゃなくただの女性として出てきます。そしてワドローの愛は成就するわけですが、そこは他のピクセル同様ドット絵風のまま出てきて、そのままのリサをワドローは愛する、でよかったのでは。3次元の女性じゃないと恋愛対象にするのはおかしいでしょって言われてるみたいで不快でした。

・現実世界でチートコードってどうやって入れるの?

・ゲームオタクが新しいテクノロジー作れそうってどんなイメージ?



感想としてはこんな感じですね。題材からは大好きな作品になりそうな気がしたんですがほんとうに残念です。おすすめはしません。



↑ゲームを題材にした映画としてはこっちの方が100万倍いいです。当時の感想はこちら