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トラ!おさかな!くじら!『ライフ・オブ・パイ』感想

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作品紹介(映画.comより) カナダ人作家のヤン・マーテルが2001年に発表し、ブッカー賞を受賞した世界的ベストセラー小説「パイの物語」を、「ブロークバック・マウンテン」「ラスト、コーション」のアン・リー監督が映画化。乗っていた貨物船が遭難し、一匹のトラとともに救命ボートで漂流することになった少年パイのたどる運命を描く。1960年インド・ポンディシェリに生まれた少年パイは、父親が経営する動物園でさまざまな動物たちと触れ合いながら育つ。パイが16歳になった年、両親はカナダへの移住を決め、一家は動物たちを貨物船に乗せてインドをたつが、洋上で嵐に遭遇し貨物船が沈没。必死で救命ボートにしがみついたパイはひとり一命を取りとめるが、そこには体重200キロを超すベンガルトラがいた。第85回アカデミー賞で全11部門にノミネートされ、アン・リーが自身2度目となる監督賞受賞を果たした。

公開してからだいぶ経ってるし今更かなーとも思ったんですが、映画館で観たほうがいいよーとの意見もチラホラあったので地元の劇場で公開終了してしまう前に行ってきました。ちなみにIMAX3Dでした。



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IMAX綺麗だけど高すぎるんだよ!2200円てあほかー!(画像は主人公のパイ君)



ストーリーはともかくとして、映像すごかったー!まず、なんと言ってもトラの描写がすごい!トラは副題からもわかるとおり今作の主役と言ってもいい扱いで、ほとんど出ずっぱりなんですけど、観終わるまでCGだってことを完全に忘れちゃうくらい、どこからどう見ても本物のトラにしか見えないんですよ…



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これがほんとにCGなの…



シマウマやハイエナなんかのその他の動物たちにしても超リアルでしかも生き生きと動いていて、観てるだけでたのしかったですよ。トビウオの大群が降り注ぐシーンとかクジラがザバーンのシーンなんかも一大スペクタクルでした(´∀`*)



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トビウオ流星群だー!


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なぜかトロン風のクジラ。うひょー!かっけー!



海の描写もすごくて、波すらなく静まりかえってまるで鏡面のようになる神秘的な海から、神の与えたもうた試練としか思えないような荒れ狂う海まで、どうやって撮ったの…って絵ばかりで、しかもそのすべてがいちいちガキーンと絵画的な美しさだもんだから圧倒されちゃってずっと口開いてましたよ(*´д`*)



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美しい…



※ここからは勘のいい人にはネタバレになるかも



ストーリーについてはなんの前知識もなかったので、最初は「トラと漂流とか変わったサバイバルものだなー」と思いながら観てまして。途中ミーアキャットのいる島のあたりで「ん…?これは…」と若干の違和感をおぼえたものの、気付きには至らず、最終的にどういう話だったかが明らかになるところでは「えっえっ!ちょっと待って!ちょっと待って!」とめちゃくちゃ動揺してしまいましたよ…。



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どこか不気味なミーアキャットたち



解釈は偉い人に任せますが、わたしが一番印象に残っているのは「事実に意味はない」というパイの言葉なんですね。起きたことは起きたことでありそれ以上でも以下でもない。どんなに辛く悲しいことだったとしてもそれ自体に意味を見出すことはできないんです。しかし時にそれは物語として変換され語られることで、事実よりも輝いて事実をも上書きしてしまうことができる。そしてそれによってのみ救われることもあるんだよということを、この物語は教えてくれているのかなーと思います。いや、わかんないですけど…



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ちなみに海のシーンはこんな風に撮ってたみたいです



ブロークバック・マウンテン プレミアム・エディション [DVD]
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唯一みたことあったアン・リー監督作。会話の中で引き合いに出すことも多いし結構好きなんじゃないでしょうか。


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宇多丸師匠も言ってましたが、連想したのはこの映画でした。おすすめ!

かわいいは正義!『モンスターズ・インク 3D』感想

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作品紹介(映画.comより) ピクサー・アニメーションの大ヒット作「モンスターズ・インク」(2001)を3D化。子ども部屋のクローゼットの奥に広がるモンスターズシティで、街に電力を供給するモンスターズ株式会社の社員として働くマイクとサリー。エネルギー源となる子どもたちの悲鳴を集めるため、夜な夜な人間界に侵入しては子どもたちを驚かせるのが彼らの仕事だが、最近の子どもたちはなかなか怪物たちを怖がってくれない。そんなある日、ひとりの人間の女の子がモンスターたちの世界に迷いこんでしまい……。

休みの日だというのに9:00〜という鬼畜上映時間にまにあうように早起きして行ってきましたよ。この上映時間はやはりお子さまの起床時間に合わせてということだろうか…めちゃ眠かったです…


わたしはピクサーの映画ってどれも大好きなんですけど、特に好きすぎるのが『トイ・ストーリー』と『モンスターズ・インク』なんですよね。どこが好きかと言うと『トイ・ストーリー』はおもちゃなのに人間味あふれまくりの魅力的なキャラクターと、圧倒的におもしろいお話でしょ。そして『モンスターズ・インク』は、全体的にすっごくかわいいところ!



っていうとアホみたいだけど、それこそがこの映画が言いたいことなんじゃないかと。ようは「かわいいは正義!」ってことです。


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モンスターたちのこのかわいらしさよ!キモいとか言ったやつ屋上


サリーとマイクはモンスター。人間界の子どもをおどろかして、エネルギーとなる悲鳴を集める仕事をしています。社内でもトップの業績をほこる名コンビでしたが、ひとりの人間の子どもがこちら側の世界に迷い込んでしまってからは災難つづきで、一時はコンビ解散の危機まで迎えてしまいます。これはひとえに子どもがかわいかったせいであり、それにサリーの父性本能が刺激されまくった結果、最後まで子どものためだけに行動してしまう親バカになってしまうからです。


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途中からあからさまにマイク(左)をないがしろにし始めるサリー(右)


モンスターの世界では人間の子どもは非常に危険な存在という認識であり、靴下の片方がこちら側に来ちゃっただけでも検疫局が出動して大騒ぎしちゃうレベルだったはずなのに、サリーはわりと簡単に情が移っちゃいます(いつの間にかブーって名前まで付けてる)。これは実はたいへんなことです。ろくに対話もできない危険人物に心を許してるわけですから。なかなか警戒を解かないマイクの方がよっぽどまともに思えます。それでもサリーに感情移入できるのは、ひとつは人間の子どもが無害であることを観客が知っているからであり、もうひとつはブーが圧倒的にかわいいからです。「かわいいからしょうがないよね」って観客も納得しちゃうんですね。それをブーの造形と動作だけで説得力を持たせちゃう(しかも2001年の時点で!)のがピクサーのすごいところだと改めて思いました。


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種族を超えた愛されガール、ブー


紆余曲折を経て、さいごには当初の目的通りブーを元の世界に帰すんですけど、そこまで観てるとこっちもサリーの親バカに乗っちゃってるからもうどうしようもなく号泣してしまいました(´;ω;`)


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画像貼るだけて涙腺が…


いま観ると、サリーはマイクを振りまわしたあげくに、最後まで歩み寄ろうとすることはなく、けっきょくマイクが追いかけてって仲直りしちゃうところがなんかもったいなかったかな。もっとお互いが欠かすことのできない相棒だということを再確認しあうような流れだともっと燃えるのにーと思いました。まあ、かわいいからどうでもいいんだけどさ!


3Dのことについて書くの忘れてたけど、正直とくに言うことないです。自然でしたよ。



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2Dのブルーレイ。3Dも出るだろうけどこっちで十分かな…


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と、思ってたらやっぱり出た3D。お好みでどうぞ。


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ピート・ドクター監督作。冒頭から涙搾り取ってくるので注意!


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恐ろしいほどおもしろいピクサーの看板シリーズ。愛してます。

トムとTシャツとおじいちゃん『アウトロー』感想

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作品紹介(映画.comより) トム・クルーズが一匹狼の元軍人ジャック・リーチャーに扮し、難事件解決に挑む姿を描いたアクションサスペンス。英作家リー・チャイルドによるハードボイルド小説を、「ユージュアル・サスペクツ」のクリストファー・マッカリー監督・脚本で映画化した。米ペンシルバニア州ピッツバーグの郊外で、白昼に6発の銃弾が放たれ5人が射殺される事件が発生。元米軍スナイパーのジェームズ・バーが逮捕されるが、かつて米軍で秘密捜査官を務めていたリーチャーは事件の不審な点に気づき、真相をあぶりだしていく。ドイツの鬼才監督ベルナー・ヘルツォークが悪役で出演している。

わたしは『宇宙戦争』や『マイノリティ・リポート』が大好きでして、トム・クルーズさんのことは言うにおよばず好きなんですけど、今回の『アウトロー』は予告編が大変かっこよかったのでわりと期待して観に行ってきましたが、わりと面白かったですよ( ・ω<)


まず、冒頭から無差別銃撃事件を犯人の視点で描いてるんですが、観客が強制的に犯人の銃の照準を覗かされることで、どんどん銃弾が発射されて被害者が増えているのに自分にはどうしようもできないという無力感とともに、犯人への憎悪が自然に湧きあがってくるとてもいいシーンでした。このあと犯人として別の男が逮捕されるんだけど、こっちは真犯人ふざくんな!と思ってるからどこの馬の骨ともわからない男ジャック・リーチャーが急に現れても、真相を究明してくれるならよしって感じですんなり応援できたと思うんです。


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なんといってもトムだから無条件に応援しちゃってるとこはあるけど


このトム・クルーズ演じるジャック・リーチャーっていうキャラクターは元憲兵で超つよいうえに洞察力や判断力にも秀でているっていうチートキャラなんだけど、お気にのTシャツ一枚を毎日洗って着てたりとか、女性にはめちゃくちゃ奥手(チューもしないのかよ!)だったり、意外とチンピラに隙をつかれてやられそうになってたりとか、なんとも憎めない奴なんですよね(´∀`*)


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これ毎日洗ってます


このリーチャーくんがカーチェイス(これもめちゃくちゃアガる!)やらチンピラとの対決やら交えつつ捜査していくわけですが、終盤急に射撃場のおじいちゃんと急に仲良くなって、そのままクライマックスの決戦になだれ込むところなんかおじいちゃんノリ良すぎだろ!と思いつつトムとのツーショットが可愛くて許しちゃいましたよ(*´д`*)


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ノリが軽くて素敵なロバート・デュヴァルさん


そんなこんなで基本的には好意を持って観ちゃったんですが、気になるところはけっこうありまして…まず黒幕に関する思わせぶりな謎がぜんぶ投げっぱなしで終わってるところとか、アクションが全体的に少なくて期待はずれだったりとか、真犯人とのタイマンがあっけなかったり(直前にザ・レイドを観たせいかも…)とか、字幕がなっちだったりとか残念な箇所も多いです。あんまり盛り上がらなかったなーという印象も正直ありますね…


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只者ではなさそうな顔だけどさほど掘り下げられなかった黒幕のヘルツォークさん


しかし、トムが演じるジャック・リーチャーをもう少し観てみたい気持ちもあるし、興収が微妙で続編の制作が危ぶまれてる状態らしいので、みなさんぜひ観てください!


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トム!またきてね!


追記)途中トムが逃走中、バス停の待ち列に紛れ込んで、隣のおっちゃんにキャップを貸してもらって深めに被るシーンにすごいデジャヴを覚えたんですが、どこで観たのかわからずモヤモヤするので、わかる方は教えてください(´・ω・`)

エリカ様、がんばったね!『ヘルタースケルター』感想

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作品紹介(映画.comより) 第8回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した岡崎京子の同名コミックを、写真家・蜷川実花の監督第2作として実写映画化。主演は「クローズド・ノート」(2007)以来5年ぶりの銀幕復帰となる沢尻エリカ。究極の美貌とスタイルを武器に芸能界でトップスターとなったモデルのりりこだったが、その美貌はすべて全身整形で手に入れた作り物だった。そんな誰にも言えない秘密を抱えながらも、人々の羨望の的となり欲望渦巻く世界をひた走るりりこは、やがてある事件を巻き起こし……。

 

岡崎京子さんの原作漫画については某遊べる本屋さん等でたびたび見かけたことはあるものの、未読でして。今回の映画化もそんなに興味がわかなかった上に、わたしのまわりでもおっぱい!おっぱい!的な文脈でしか語られることはなかったので、公開時は華麗にスルーしてたのですけど…

 

 

 

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平積みになってるのをよく見かけた表紙

 

 

 

 

 まあでもなんだかんだ言って話題作だし、エリカ様はぶっちゃけ嫌いじゃないし(*´д`*)レンタルなら観てもいいかなーという軽い気持ちで観てみましたよ。けっしておっぱいがみたかったわけではないのです。ほんとうです。

 

 

 

 

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おっぱいは関係ないです

 

 

あらすじとしては、全身整形で大スターになったりりこがナチュラルボーンビューティーな若手の台頭やひどい肌荒れなどにより発狂し、ラストはそして伝説へ・・・的な感じで終わってました。

 

 

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整形の後遺症で肌荒れが!

 

 

感想としてはまず、長い!いま書いたあらすじでは彼氏の件とか検事の件とかいろいろはしょってますけど大筋はこれだけなので、この内容で2時間超はすごく間延びして感じられます。なんでこんなに長くなるかというと「あたしが撮ったうつくしい絵はぜんぶ使うのよ!」と蜷川実花監督が言ったかどうかはわかりませんが、編集段階での取捨選択がうまくいってないせいじゃないかと。1シーン1シーンがやけに長いんですよね。まあ中には、りりこがモデルとしてひっぱりだこで仕事に忙殺されるカットを単調な編集で延々見せられて観客がしんどくなってきたところで、りりこが「疲れたー」って漏らすシーンのように、観客とりりこの気持ちが完全にシンクロしてやけに効果的になってるところもあったけれど…

 

役者さんは体当たりで演じていたエリカ様はじめ、寺島しのぶさんのキモ痛いマネージャーとか新井浩文さんのおねぇのメイクさんとか、あと窪塚くんのいかがわしい彼氏も!みんなよかったと思います。さすが演技できる人集めてるだけあるなーと思うんです…が、あの大森南朋演じる検事の変なポエマーみたいなキャラとはどうも相性が悪くて、大森さんが出てくるたびに観るのをやめたくなりましたよ(*´・ω・)(大森さんが悪いんじゃないと思うけど)

 

 

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いちいちポエムを混ぜてくる検事(うざい…)

 

 

あと、個人的にかなりがっかりしたのは、終盤でりりこが見る悪夢的な幻覚の描写がすごくありきたり(目とか小人とか)で、ぜんぜん目新しさがなかったことです。蜷川実花さんって本職は写真家だし「絵」で魅せるひとだと思ってたので、そこさえフレッシュなイメージを見せてくれたら印象は違ったんじゃないかなー。

 

 

 

全体としてはやっぱり退屈でしたけど、随所にちりばめられたブランド広告のようなイメージカットはきれいでたのしかったし、りりこが表紙の実在のファッション誌がばぁーんと出てくるとことかファッション誌好きとしてはテンションあがったりもしたし、なにより色んなファッションに身を包んだエリカ様が存分に見られるので、エリカ様がなんだか気になるって人は見といて損はないと思いますよ(*´∀`*)

 

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エリカ様お疲れ様でした!

 

マッド・ドッグ!マッド・ドッグ!『ザ・レイド』感想

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作品紹介(映画.comより) ジャカルタのスラム街を舞台に、警察の特殊部隊とギャングが繰り広げる壮絶な戦いを描いたインドネシア発のバイオレンスアクション。麻薬王が支配し、ギャングや殺し屋、ドラッグの売人の巣窟となっている高層ビルに、ジャカルタ警察のSWATチームが強制捜査に入る。しかし作戦の情報は筒抜けになっており、20人の隊員は無数のギャングを相手に激しい戦いを強いられ、ひとりまたひとりと命を落としていく。世界50カ国以上の軍隊で採用されている格闘術「シラット」を駆使したアクションシーンなどが話題となり、第44回シッチェス・カタロニア国際映画祭ほか世界各国の映画祭で高い評価を獲得。全米でも公開され、続編の製作やハリウッドリメイクも決定した。

 前々から『マッハ!!!!!!!!』を引き合いに出して激推ししてる評なんかを見かけるにつけ、すっごーく観たかったんですが公開時にはどうしても都合がつかず観逃してしまいまして…今回ソフト化されたタイミングでそっこーレンタルしてきましたよ!いやあ、さすがに観る前に買うのは怖いじゃないですかー(・ω<)

 

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どうみても面白そうなキャッチコピー

 

ザ・レイド』のあらすじを要約すると、「警察の特殊部隊が極悪人専用賃貸住宅に突入!殺ったり殺られたりしながらラスボスの待つフロアを目指す!」というもはや話があるのかないのかわからないレベル。人物描写についても主人公ですら冒頭1、2分でさらっと描くというあっさり塩味で、いかにアクションの部分に比重を置いているかがわかります。
 
その分、本編全体のほとんどを占めるアクション描写は圧巻のひとこと!吹き抜けのあるマンションの構造を利用した銃撃戦(しむらー!後ろのうえのほうー!)や、インドネシアの最強格闘術を駆使してものすごい速さで敵の大群を行動不能にしていくシーン(大興奮!)など終始ハイテンションながら見せ方が整理されてて、敵味方の動きがよくわかるしとてもうまいなーと思います。また、アクションシーンに比べると地味な、敵に見つかっちゃうサスペンスも演出のタメがあるからちゃんとハラハラするようにできてるのもエラいですね(`・ω・´)(なぜか上から目線)。
 
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思わず息を止めてしまったハラハラシーン
 
しかしなんと言っても今作の見どころはラスボスの超つよい側近マッド・ドッグ兄貴のあまりにも漢らしい闘いぶりですよ!部隊長とのタイマンで銃を突きつけてもうすでに勝ってる状態から、銃は好きじゃないんだよねーとかいって拳のぶつけ合いを選ぶ漢気。抱いて!
 
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この状況から…
 
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銃を捨てる!
 
さらにクライマックスではある人を鎖でぶら下げてサンドバッグすることで主人公をおびき寄せるんですが、ふつうの悪役ならそのまま人質として使うところをまさかの解放!&2人いっぺんに闘う!
 
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ここから、2対1に持ち込む兄貴
 
ここから主人公チームVSマッド・ドッグ兄貴の肉体と肉体がぶつかり合う壮絶な闘いが始まるわけですが、もうね、兄貴の小さい身体(推定身長150cm)のどこからこのスピードとパワーが生まれるのかと釘付けになってしまいました。もうストーリーとか関係なく完全に兄貴を応援してましたもんね。2対1とは卑怯だぞ!
 
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ものすごく小さくて、ありえないほど強い兄貴(失礼)
 
さいごが尻すぼみだったりとか、いくらなんでもストーリーがどうでも良すぎたりとかぜんぜんダメなとこもあるけど、アクション映画が好きなら観ない手はないと思いますし、わたしは兄貴の存在だけでも大好きな映画になりましたよ(´∀`*)
 

第2シーズンやってよ!『映画 鈴木先生』感想

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作品紹介(映画.comより) 独自の教育理論で教育現場のさまざまな難問に立ち向かう国語教師・鈴木先生の奮闘を描いた、長谷川博己主演の人気ドラマを映画化。緋桜山中学校の2年A組を受け持つ鈴木先生は、理想のクラスを作る上で必要なスペシャルファクターとして、ひとりの女子生徒・小川蘇美を重視していた。しかし、そうしているうちに蘇美の魅力にとりつかれ、良からぬ妄想をしてしまう。妊娠中の妻・麻美に心配をかけまいと、なんとか自分を律して日々を過ごしていたが、2学期になったある日、OBが学校に立てこもり蘇美が人質にとられるという事件が発生する。妻の麻美役に臼田あさ美、同僚の教師役で田畑智子、でんでんらが共演。

ドラマ版の『鈴木先生』については、リアルタイムでこそ観ていなかったものの、友人の勧めで観はじめたところすっかりハマってしまいまして。ドラマ版の何が良かったかというと魅力的なキャラクターにロジックに特化した斬新な切り口のストーリー、そして何といっても生徒たちの演技が真に迫っている討論シーンですよね。

 

 

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テレビドラマの域を出て「ものすごい何か」になっているクライマックスの鈴木裁判。この画像だけで胸がつまります。

 

 

 
ドラマ版がすごく大好きになってしまったので、映画版をやるって聞いたときは飛び上がって喜んだんですけど、あらすじを読むとあ、これだいじょうぶかな…っていう嫌な予感がしてまして。どういうことかというと、犯人が人質をとって立てこもっているというような非常事態の描写ってよっぽどうまく撮らないとすごく白けちゃうんですよね。まずは人質が抵抗したり逃げたりできない状況であって、誰も助けることができない状況ですよってことを常に絵で観客に納得させなきゃいけない。それができたとしても、解決するのにこれをこうしたから助かったんだよっていう明確なロジックがないと腰砕けになっちゃうと思うんです。というわけでよくあるドラマみたいに適当に撮ってたらつっこみ所だらけになりそうだけど、あの『鈴木先生』だしそこはまったくの杞憂で、華麗なロジックで犯人を論破して無力化したりするのかもなーと期待と不安が入り混じった心境で観にいってきました。
 
 
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この言葉が次々浮き出してくる描写もお気に入り
 
 
 
観た感想はというとちゃんと白けちゃってるやんー!(´ぅω・`)です。
百歩ゆずって教室で人質とって立てこもってるシーンはいいです。みんなでいけば犯人倒せるだろっていうタイミングはあるけど、犯人刃物持ってるしこっちはほとんど女生徒だし動けないのも仕方ないよね。しかしいくらじぶんの説得術に自信があるとはいえ、鈴木先生が策も無く単身教室に入ってくるのはどうなの?とは思うけど。
そして本当にどうかと思うのは屋上でフェンスの向こう側に立てこもるシーンの方。犯人と人質の小川がしゃべってる間、集まった生徒も教師も行儀よくフェンスに食らい付いて見学してるけどさー。これフェンスの扉開くんだよね?そして犯人が人質から離れてるタイミングってけっこうあるよね?ていうか完全にフェンス側に背中向けて無防備なときあるよね?じゃあさ、背後から数人で取り押さえればいいんじゃないかなー。誰かサスマタ持ってきてないのー?なんだか間抜けの集団に見えてイライラしちゃいました。
クライマックスの取って付けたような危機一髪描写にしても、ハラハラするよりまず 鈴先(すずせん)なんでそこにいるん? そもそも跳ぶ必要あるの? どうみても届かなそうだったけど? と次々に疑問が浮かんでしまって集中して観れなかったです…
 
 
ことほどさように一言で言えばヘタクソな見せ場がノイズになって小川の語りや犯人の熱演があんまり響いてこないという…。そもそも『鈴木先生』でこういうふつうの映画的な見せ場を作る必要があったのかしら(話自体は映画オリジナルじゃなくて原作にもある話らしいけどね)。もう1つ同時進行してた生徒会選挙のエピソードは地味だけどすごくおもしろかったから、やっぱり無理しないで地味に徹したほうがよかったんじゃないかな。
 
 
 
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生徒会選挙演説での出水、いい男です(*´д`*)
 
 
 
なんか悪い所ばっかり書いちゃったけど、基本的にはあの子達にまた会えた(*´∀`*)ってことだけで大満足だったりもするし、竹地とか見てるだけでニヤニヤしちゃうし、河辺の「公園にいたネー?(*´・ω・)」は5億点だし、生徒会選挙演説の出水は真摯な目がとてもよかったし、さいご腑抜けどもを差し置いて身の危険も顧みず犯人に飛び掛かる足子先生の姿には不覚にもうるっときてしまいました。
 
 
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いろいろ間違ってはいるんだけど、本当に生徒の事を考えてるんだよね(´;ω;`) 
 
あとね、みんながじゃれあいながら歩いてるエンドロールみてたらやっぱりこれずっと続いてほしいなーと思っちゃったりして、ドラマの第2シーズンなんとか作ってくれませんかネー?(*´・ω・)という気分になりましたよ。
 
 
追記 2013.3.18
 
遅ればせながら原作を読んだのでちょっとだけ追記。基本的な感想は変わらないけど、人質事件のときのみんなの心理がより深く知れたことで、ちょっと飲み込みやすくなった感はあります。それとドラマと映画のために人物を整理したりエピソードの配置を改変してる部分はなかなかうまいことやってるな(エラそう)と思いましたよ。原作だと2-A以外の生徒もいっぱい登場するので、そのままだとひとりひとりの人物描写が浅くなっちゃっただろうしね。
 
あと足子先生についてはキャラクターにかなり優しい眼差しが向けられるような甘めの改変がされてましたが、ここはむしろ映画版のほうが大好物でしたよ(´∀`*)
 
 

鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)

鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)

終わるのが寂しすぎる原作漫画

 

 

鈴木先生 完全版 DVD-BOX

鈴木先生 完全版 DVD-BOX

終わるのが寂しすぎるテレビドラマ版

 

ジェームズ・ボンドって、かっこいい!『007 スカイフォール』感想

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作品紹介(映画.comより) 「007」シリーズの第23作で、「カジノ・ロワイヤル」「慰めの報酬」に続きダニエル・クレイグジェームズ・ボンドを演じる。各国のテロ組織に潜入している工作員を記録したMI6のハードディスクが何者かに奪われ、ボンドは犯人を追いつめるが、MI6の長官Mの命令で放たれた銃弾に撃たれ、橋の上から谷底へと落ちていく。Mはリストが奪われた責任を追及され辞職を迫られるが、これを拒否。しかしその直後、リストを奪った犯人によりMI6のオフィスが爆破され、さらなる犠牲者を出してしまう。このニュースを見たボンドは再びMのもとへ舞い戻り、現場へ復帰。犯人の手がかりを求めて上海へと渡る。「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデスがメガホンをとり、シリーズ初のオスカー監督が手がける「007」となった。ボンドガールは仏女優ベレニス・マーロウと英女優ナオミ・ハリス。悪役に「ノーカントリー」のハビエル・バルデム。M役はシリーズおなじみのジュディ・デンチ
わたし自身は007というとピアース・ブロスナン時代にどれか2作ほどテレビで観たのと、ニンテンドー64ゴールデンアイを友人と徹夜でやってたことくらいしか記憶にない007弱者です。なんだけど今回のスカイフォールはすこぶる評判がよかったのもあり、町山さんの助言どおり過去作のうちゴールドフィンガーだけチェックした上で観に行ってきました。
 
はじめて映画館で007を観て思ったのはジェームズ・ボンドってめちゃくちゃかっこいいじゃん!」(めちゃくちゃかっこわるい文章)ってこと。オープニングからバイクチェイス&スタント(バイクでどーん!)に圧倒されていると、あれよあれよという間にボンドが落下しAdeleの歌にのせたオープニングが始まるんですけど、これがもう美しすぎて最高としか言いようがないものでして。オープニング中ずっと鳥肌立ちっぱなしでしたよ。
 
 
その後は正直にいうとハラハラするところが少なくて、ちょっと退屈してしまったんですけど、だんだん話の全体像が見えてきて、これは母親としてのMをめぐる話でボンドと敵役シルヴァは本質的に同じなのだということがわかると、2人ともとても不憫に思えて最後は泣いてしまいました。
 

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実は似たもの同士の2人

 
本筋とは関係ないですが、ダニエル・クレイグの引き締まったウホッ肉体美とかハビエル・バルデムのさすがの顔の気持ちの悪さとか終盤のジュディ・デンチの守ってあげなきゃ感(というかおばあちゃん感)とかすごくいいなーと思うところもいっぱいあって、門外漢のわたしでもとても面白く観れました(ゴールドフィンガーを観てたおかげでネタが理解できたのも大きいです。特にアストンマーチン。)。たぶん007ファンの人はもっと楽しめるんじゃないかと思いますね。